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経鼻内視鏡か?経口内視鏡か? ~検査法の選択~

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鼻からカメラを挿入するなんて・・はじめて見たときには驚きましたが、耳鼻科の先生から見ればごく普通のことだったんだと思います。

胃カメラで最もよく耳にする苦痛は、オエッとなること(嘔吐反射)ですが、これは舌根部(口の奥の方にある舌の付け根)にスコープが触れることで引き起こされます。のど痛で口の中の診察される時と同じことですね。

経鼻内視鏡は舌根部に接触しない経路でスコープが挿入されるので、経口と比べてオエッとなりにくいのです。

自分が内視鏡検査を受けるのに経鼻内視鏡がよいのか経口内視鏡がよいのか選択に迷うところです。経鼻内視鏡か経口内視鏡を選択する上で、その違いに注目してみます。

経鼻内視鏡といっても、スコープは経鼻専用というわけではないので、もちろん口から挿入することもできます。

経鼻と経口の違いは、①使用するスコープの違い、②挿入経路の違いに分けて考えた方がわかりやすいのではないでしょうか。

①使用するスコープの違い:
様々なメーカーから多種の内視鏡が販売されていますが、経鼻に使用するスコープは太さがおよそ5mm(通常の経口スコープは大体10mm前後)と細径です。

細いことのメリットは、鼻から挿入できること、口から挿入しても嘔吐反射が比較的少なく楽なことです。反対に細いが故に、画質が通常の経口スコープ(現在最新のものではハイビジョン画像になっているものが主流です。)と比べて劣ることが最大のデメリットといえるでしょう。

つまり、どの程度の画質が必要かを考えることがスコープ選択には必要になります。

例えば・・癌のリスクの低い若い方が、胃痛のため、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を疑って胃カメラを受ける場合は、細径のスコープでも十分に発見することが可能でしょう。一方で、胃癌1次検診(バリウムの検査)で要精密検査と言われ、胃癌2次検診として胃カメラを受ける場合、小さな早期胃癌を検索するため画質が高いスコープほど有利になるでしょう。もちろん「口から胃カメラなんて絶対に嫌!!」とおっしゃる方はたくさんおられるでしょうし、その場合はまったく胃カメラ検査を受けないよりは、多少画質が落ちても細径スコープで検査を受けた方が良いでしょう。ここに挙げたのはあくまで例えなので、それぞれの方に合った内視鏡検査は医師とよく相談する必要があります。

②挿入経路の違い:
鼻からか、口からの違いです。経鼻内視鏡の開発目的は「オエッとなりにくい」内視鏡検査の実現と言えるでしょう。(経鼻内視鏡でもオエッオエッの連続だったとおっしゃる方が、たまにおられます。その解決方法については後日、ご紹介したいと思います。)

経鼻内視鏡を一度受けると、次回は8割程度の方が、「次も経鼻内視鏡が良いと希望される」との宣伝文句をちらほら目にします。実際に内視鏡検査を行っていて、「次もぜったい経鼻で・・」とおっしゃる方の共通点は、鼻から喉へスコープ挿入にまったくストレスがなかったという点だと思います。いかに経鼻挿入時のストレスを無くすかがポイントなりますが、鼻孔の局所麻酔の効き具合、内視鏡医の技術(経鼻内視鏡と言っても、内視鏡である限り技術は不可欠!特に鼻道の通過には大腸カメラに共通した技術が必要と感じています。)がもちろん影響を及ぼしますが、やはり最も大きな要因はその方々の鼻孔・鼻道の形状、痛み・不快感の感じ方になると思います。経鼻内視鏡を握っていてなんの抵抗なく、容易く経鼻挿入が可能であった方でも、「痛くはないけど鼻の中の異物感が嫌い」とおっしゃる場合もあれば、見た目に明らかに狭い鼻道をなんとか挿入した方が、「まったく痛くなかった、鼻からのカメラが良い」とおっしゃる場合もあります。結局、検査を受ける個人個人によると言ってしまえば、身も蓋もありませんが、他人から経鼻内視鏡をすすめられたからといって、必ずしも自分にとって最良の方法とは限らないということは知っておいて損はないでしょう。

鼻からは抵抗感が強くて、やっぱり口から受けようと希望される方もにとっても、細径スコープはありがたい選択肢です。(経鼻用と言われる)細径スコープでも、口から挿入できないわけではありません。当然、スコープが細い方が、舌根部に接触が少なくオエッとなりにくいですし、喉の異物感も優しいです。直径5mmのアメ玉と直径10mmのアメ玉を並べて、飲み込むところを想像してみてください(危険ですので、決して実際には試さないでくださいね)。その違いは容易にイメージできるでしょう。・・・ただし10mmのアメ玉(通常径のスコープ)も自分で飲み込むのではなく、内視鏡医にお手伝いさせていただければ、想像するほどは地獄ではないはず・・と付け加えさせてください。

施設によって得意・不得意もあるでしょうし、実際に内視鏡検査を予約される際には、担当医とよく相談していただく必要があります。ご自身が内視鏡検査を受けられる目的を担当医と一緒に考え、使用するスコープ・挿入経路を決めていけば自ずと答えが出るのではないでしょうか。